HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter13 『闇と最初の小さな一粒』 13-14


***

ゴォッ

(圧力を振り払い、夏樹は“闇”と対面した。)

(自分の、三倍ほどもある背丈のその生き物は。 流動する黒い液体の身体で、
目の前に立ちはだかった。)

(粘土の様に、形を変え、うねり。 巨大な爬虫類を思わせる
足と尾を持つ。)

(黒い目は、爛々と光っていた。)

「やっと会えた。」

「新しい街の、最初のターゲットだ。」

(夏樹は、臆することなく。 両足で踏み止まり、“闇”の前に出た。)

コオォッ

(肌から湧き上がる風が、開いた手から伝わり。)

(蒸気を帯びる、気流が、目に見える程だ。)

「その人から、出て行ってくれ。」

ゴオッ

(夏樹は、時計をはめた手に、強い風をまとった。)

「海風は、僕と相性が良い。」

(微笑み。 左手に集まる風に力を込めた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ