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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter13 『闇と最初の小さな一粒』 13-2


「ん〜・・?」

(白は、まどろむ瞳で、夏樹を見上げた。)

(自前の布団に身を包んだ白は、長身の身体を、だらりと床に横たえていた。
上下真っ白な服に銀の装飾。)

(柔らかく、流れる白い髪が、ふわふわと、眠そうな瞳を覆っている。)

「ん〜・・ふわぁ〜ぁ・・。 心配なんて〜・・してないよ〜・・。」

「夏っちゃんは〜・・、大丈夫さ〜・・。」

(白は、僅かに微笑んだ。)

(気の抜けた声だったが、白のまどろむ瞳の奥に。 強い煌めきがあった。)

『僕を心配してくれているんだ。』

『意識を集中しているから・・、眠れないんだな。』

(夏樹は、静かにつぶやいた。)

「眠いのに、眠れない時って、辛いよな。」

(夏樹は、頬づえをついて屈み、白の、閉じかけた瞼の奥で、強く揺らめく瞳を
見つめた。)

「僕は、大丈夫だよ。」

「菖蒲がいるから、迷子になる事は無いし。」

「もうすぐ次のデータの目的地に着く。」

「今度は、逃さないさ。」



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