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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter13 『闇と最初の小さな一粒』 13-3


(夏樹の紺色の瞳も、色を増し強く輝いた。)

ピッ ピッ

(夏樹の左腕にはめた腕時計と。 菖蒲の見る運転席の、
モニターには、完成した結界の位置と、“闇化”を示す赤い点が点滅していた。)

(一際強い光が。 風見市の中ほど、新緑の森を指示していた。)

「さっきとは、別の欠片だ。」

『見失わない様に。』

(夏樹は、両手を組み。 意識を、時計の点滅と、森へ向けた。)

「先ほどの物よりは、小さいですね。」

(静乃からのデータを、読み、菖蒲が、大通りの信号で、
左にハンドルを切った。)

「そうだな。」

(夏樹は、意識を集中した。)

(組まれた真っ白な手に、力がこもる。 真剣な表情の夏樹は、
透き通るように蒼白だった。)

『夏樹様・・。』

(菖蒲は、ミラー越しに、夏樹の様子を見た。)

『白さんの様に、集中されているのは、夏樹様もご一緒ですね。』

「この通りの先が、新緑の森です。」



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