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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter13 『闇と最初の小さな一粒』 13-6


「晃さんが、気に入る場所だな。」

(辺りを包む、豊かな木々は、しなやかに伸びている。)

(緑の葉は、涼しい5月の風を、夏樹のもとに届けた。)

ザワザワザワッ

サァァッ

(だが、風に乗り、不穏な空気も。 届く。)

「よし。」

(夏樹は、振り返り、助手席の窓に身を寄せた。)

「菖蒲、白とここで待っていて。」

「白。 菖蒲が付いて来ないように、見張っていてくれよ。」

「・・・。」

(白は、何か言いかけて、眠そうに返事した。)

「ほわ〜い・・。」

「そんなっ・・。」

(白の返事に、菖蒲が慌てた。)

「くっくっ。 何かあったら、時計で知らせる。

“闇”に遭遇したら、自動的にデータが転送されるから。」

「静乃さんに伝えてくれ。」



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