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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter13 『闇と最初の小さな一粒』 13-9


(白の言葉に、菖蒲は頷いた。)

「はい。」

「夏樹様に、お任せ致しましょう。」

(菖蒲は、微笑み、運転席のモニターに視線を向けた。)

***

(緑の道を抜けた先に。 噴水広場が広がっている。)

(それまで、僅かに流れてきた、“闇”の気配は。
広場に足を踏み入れた途端、たちまち強さを増した。)

『・・ここだ。』

「向こうから、誰か来る。」

(夏樹は、高く上がる噴水の向こう、
こちらへ走って来る人影を見た。)

(若い男性らしい人影は、真っ直ぐに伸びた道を。 噴水を目指して、
向こうから来る。)

『あの人だ・・。』

(夏樹は、ちょうど、噴水を挟んで、反対側で。 待つことにした。)

(高い噴水は、隠れ蓑の様に、夏樹を男性の視界から隠す。)

(夏樹には、男性の姿が見えなくとも。 近づいてくる気配で、
距離や感覚が、手に取るように分かっていた。)

「もう少し、近くに。」



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