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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter14 『窓際の席』 14-3


「橘さんを呼ぶ必要もありません。 お見事です、夏樹様。」

(菖蒲は、ほっとした気持ちで、気分が上がっていた。)

「・・まぁ、そうだな。 頭の先から、スニーカーの中まで、

ずぶ濡れじゃなければ、さらに良いんだけど。」

「大丈夫ですよ!」

「夏樹様。 こんな時のために、白さんがいらっしゃるではありませんか。」

(菖蒲は、微笑んだ。)

「ん?」

***

シュォォォーッ

(リムジンに戻った夏樹は、白の前に座り。)

(白が伸ばした、大きな手に、みるみるうちに夏樹の紺色の髪先や、白いワイシャツから
水分が抜ける。)

ピチャンッ

(集まった水滴は、白の緩やかな手の中で、踊るように流れた。)

「ドライヤーで乾かしたみたいだ。

乾燥機もいらないな。」

(夏樹は全身さっぱりと乾燥し、白を感心して見つめた。)

「夏っちゃ〜ん・・。 このために〜・・聖は〜・・、僕もついて行くように〜・・



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