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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter14 『窓際の席』 14-6


「まったく、力の使い方が、素人だな・・。」

「俺なら、相手の間合いなど見る前に。 異空間に連れて行く。」

(風に揺れ。 不安定な葵を支え。
光は、葵の肩に触れた。)

(長身で、体格の良い光は、シンプルな服に、無造作な短い髪が似合う。
女性でありながら、凛々しい魅力があった。)

「光・・。」

「誰かを傷つけたくないの。 それが夏樹さんのやり方・・。」

(葵は、背の高い光に。 振り向いた。)

「甘いな。 いつか、足元をすくわれる。」

(ぶっきらぼうに、つぶやく光の視線は、涼やかに新緑の森に向けられた。)

(光に届く風も、穏やかに。
薄い黄味色の。 短い髪を揺らす。)

「・・あいつの風は、攻撃の時でさえ。

“闇”への同情を含んでいる。 まったく子供だ。」

「くすくすっ。 本当は、羨ましいと思っているのでしょう?」

「聖さん以外に、夏樹さんがいつも。

一番乗りに、欠片に辿り着くから。」

(葵は、微笑んだ。)



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