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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter15 『百聞は一見にしかず』 15-1


カッカッカッカッ

(風見市庁舎の廊下を、足早に歩く。)

「まったく・・、何という事だ・・っ。」

「市長の冗談であれば良いものをっ。 ただでさえ忙しいのに、

これ以上問題を抱えて、どうするというのだ・・。」

(茶色のスーツに身を包む、小柄な初老の男性が、
前髪を揺らし。 まだそんなに暑くは無いのに、
汗をかき慌てていた。)

「・・春日殿が市長になられてから、まったく、

心休まる間がない・・。」

(男性は、ノックも忘れ、市長室のドアを開いた。)

ガチャッ

***

「市長!! 何ですかっ、これはっ!?」

(小柄な身体を、最大限に伸ばし、手元の書類を、

市長である誠司が、見逃さないように、力いっぱい振りかざす。)

「どうしました、三笠さん。

そんなに慌てて。」

(突然開いたドアに、一瞬驚いた誠司が。 三笠の様子を見て、穏やかに微笑んだ。)



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