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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter16 『触れてはいけないもの』 16-14
(晃は、睨んだ。)
「・・はいはい。」
バッ
(気の無い返事をして、聖は、
白いスーツの腕先を、伸ばした。)
「そうだな。 今度は、
海岸通りに張ろう。」
「きれいな海に、“闇”は、似合わないから。」
ググッ
(伸ばした腕に、異空間が引き寄せられる。)
(異空間の穴が。 開いた。)
「砂貝海岸か・・。 良い名前だ。」
(聖は、長い指先で、穴の中を手繰った。)
(黒と紫のマーブル模様の気流の中で、いくつもの景色が
指先を行き過ぎる。)
(重力に逆らい。
目的の空間に触れようとした時。)
チリッ
(流れる気流に差し込んだ左手の、
銀色の指輪が。 何かに触れ、音を立てる。)
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