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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter16 『触れてはいけないもの』 16-2


(三笠の反応に、誠司は気の毒な事をしたと思った。)

「すみません、三笠さん。

僕の秘書になったおかげで。 これまでもご苦労をお掛けしていますが。

今からでも、可能でしたら、僕ではなく。 別の方の秘書を希望されても

かまいませんよ。」

(誠司は、優しい瞳で、冷や汗をかいている三笠に微笑んだ。)

「なっ・・!

市長・・。」

「私の他に。 誰がっ! あなたの様なハードなやり方で仕事を

進められますかっ!?」

「わっ、私しかっ・・! ついて行ける者はおりませんっ。」

(根っから気が弱い三笠は、得体のしれない何者かが
これからこの部屋に来る事を、想像しただけで。 息も絶え絶えになっていた。)

(それでも、誠司は。 そんな三笠に感銘した。)

「・・三笠さん。 ありがとうございます。」

(誠司は、感謝を込めて。 微笑んだ。)

「僕達は、この先。 運命を共にしますね。」

(三笠は、息を飲んだ。)

「はぁっ・・。 記憶を消されるのだけはっ・・ごめんです。」



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