HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter16 『触れてはいけないもの』 16-3


「くすくすっ。」

(誠司は微笑んだ。)

コンコンッ

(市長室をノックする音がする。)

「ひっ・・!」

(三笠は肩をすくめた。)

「どうぞ。」

(誠司は、ノックに応え。 ドアへ視線をゆっくりと移した。)

***

(風見市高層ビルの屋上。
長身の二つの影がある。)

(一人は、眩い。 真っ白なスーツに身を包み。
太陽の光に、煌めく金の装飾。)

(もう一人は、対照的な黒の服。
滑らかな光沢に。 流れる黒の短い髪、長い手足が目立つ。)

ドォォォーンッ

(今日、何度目かの。 自動空間誘導システムが作動するのを。
二人は、風見市の、見晴らしの良いビルの屋上から見つめた。)

(聖の金色の瞳に。 前方の、住宅街から。
日の傾き始めた青空の彼方へ。 淡い黄色の光柱が煌めき。
すぐに消えるのが見えた。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ