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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter18 『刷り込み』 18-7


(ドアを開けようとした菖蒲を。
橘は、片手で制した。)

「菖蒲、窓を開けても平気だろう?

橘さんは、空間移動の途中で寄ったんだ。

すぐ帰るってことだよ。」

「はい。」

(窓越しの、橘の周りは。
不思議な気配がある。 周囲の空気が、
ゆっくりと、重たく動いている様に見えた。)

(空間移動の通路に留まり。
空間の扉から、こちらを見た時に、起こる現象だった。)

(橘の力に感嘆し、夏樹は窓を開けた。)

ガガッ

「橘さん、ご苦労さま。」

「今度は、何を頼まれたの?」

(夏樹は、窓越しに困った顔で笑った。)

(真っ白な肌に、紺色の髪。 深い紺色の瞳が見上げ。
困った表情を見せる様子は、聖がからかいたくなるのも分かる気が、
橘にはしていた。)

「夏樹様。 ご機嫌如何でございましょう。」

「良い午後でございますなぁ。」



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