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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter18 『刷り込み』 18-8


「本日も、大変なご活躍とお伺いしました。」

「どうぞお疲れの出ませぬように。」

(白い眉毛の下で、灰色の瞳が。 かわいい孫を見るように、優しく微笑んだ。)

「ああ。 ありがとう。」

(橘は、燕尾服の内ポケットから。

小箱を取りだした。)

(白手袋の手に握られた。 赤い小箱に。
可愛らしい、金色のリボンが留められていた。)

「プレゼントでございます。」

「我が主、聖様より。

大切な夏樹様へ、お届けするように・・。」

(橘は、さも大切なものであるかのように。
丁重に、深くお辞儀し。 夏樹の前に差し出した。)

「ありがとう・・。」

(こんな風に渡されては、とても受け取らないわけにはいかない。)

(夏樹は小箱を受け取った。)

「一体何でしょうか?」

(菖蒲も興味を持ち、夏樹に振り向く。)

「聖様から、夏樹様へのお気持ちです。」



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