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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter19 『甘い誘惑』 19-3
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(夏樹は、リムジンの後部座席から、
通りの様子を見ていた。)
「そろそろ。 現れても良い頃だ。」
(左腕にとめた、黒い腕時計に目をやる。)
(時計は、文字盤に、時間と赤い点滅を
無数に映し出す。)
「もっと、近づかないとだめか。」
(夏樹は、小町通りを行き交う人々に。
意識を集中し。 目を細めた。)
(その時、ふと。
窓の外の、一点を見つめている菖蒲に気が付いた。)
「・・菖蒲?
どうかしたか?」
「いいえ。
何でもございません。 夏樹様。
お気になさらず。」
(菖蒲は、慌てて視線を元に戻した。)
「ん?」
(夏樹は、菖蒲が何を気にしているのか
分かった気がした。)
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