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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter19 『甘い誘惑』 19-5


「白さんには、聞いていませんっ。」

(菖蒲が怒った。)

「コーヒー・・一つ〜・・。 くださ〜い・・。」

「(むかっ。)」

(毛布にくるまる白を、菖蒲は横目で見た。)

「ピヨッ」

(ひよこは。 白の温かな毛布の上を、行ったり来たり。
時々。 白の長い腕や、
手の上を、小さな足で。 ちょこちょこ歩いた。)

「行って来て良いよ。

“闇”が出たら、知らせる。」

(夏樹は微笑み。 菖蒲を見送った。)

「・・それでは、お言葉に甘えて。

行ってまいります。」

パタンッ

***

(運転席から下り、菖蒲は両腕を伸ばした。)

「んんっ・・。」

(ぴちっと着こなしている燕尾服のせいか。



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