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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter22 『雪の中の幻』 22-10


・・ポタッ・・

「・・・っ!」

(痛む左腕に、目をやると。
肘の上辺りに。 大きな、切り傷が出来ている。)

(現実に引き戻され、感覚が戻った痛みに。
夏樹は唇を噛んだ。)

(見る見る内に、左肘から流れ出た血が。 夏樹の白い腕を流れ、
白い、指先から、地面へ滴を落とした。)

『・・まいったな。 現実に戻ったのは良いが。』

(大きく切れた、シャツの腕は。 じわじわと、赤に染まった。)

『ガードを、固めようと。 思ったばかりなのに・・。』

(夏樹は、スニーカーの足で、足元の地面の感触を確かめながら。
無傷の右腕で、紫苑の身体を支えなおした。)

「・・ふぅっ・・。」

『左手を、もぎ取られなくて。 まだ良かった。』

(止めどなく、流れる血液に、夏樹の左腕はすでに痺れかけていた。)

(紫苑を抱きとめる事に、精一杯で、夏樹は、
空間結合装置に飛び込む際、自分の左腕を引くことを忘れていた。)

『・・情けない。』

ぎゅっ



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