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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter22 『雪の中の幻』 22-13


『・・橘さんが・・。』

『・・聖が・・来る。』

(夏樹は、焦る気持ちを抑え、
“闇”に意識を集中した。)

ゴォォッ

(2人の、数メートル先で、小町通り異空間の。
街路樹をなぎ倒し。)

(出現した巨大な“闇”が。 次第に、

泡立つ。 流動する黒い身体を、ゆっくりと、回転させ始めた。)

ボコッ ボコッ・・

(まるで、溶岩の様に泡立つその黒い身体は。

広く溶けだし。 歩道の花壇、道路を覆い尽くし。

あっという間に、通りを黒く染め。 成長した。)

(流動する、身体を支えるように。
無数の足が、這っているのが見える。)

「・・・っ!!」

(紫苑は、あまりの恐ろしさに、声も出なかった。)

「・・出たな・・。 お前のおかげで、

僕は今日、散々だ。」

(夏樹は、深い紺色の瞳を煌めかせた。)



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