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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter22 『雪の中の幻』 22-17


・・ポタッ・・

(白い左腕は、酷く出血し。
支えていた紫苑の。 茶色のベストや、白いブラウスにさえ、
血痕を残した。)

「ああっ、大変・・っ どうしよう・・っ!?」

(紫苑は、蒼白な夏樹の顔色を見て、
今にも泣き出しそうに、茶色の瞳を揺らした。)

ズズッ・・

(“闇”が、再び、2人の姿を捉え。
動き出そうとしていた。)

『・・近くへ寄って・・。

欠片を取りださなければ・・。』

(夏樹は、瓦礫の上で、
静かに、深い紺色の瞳に映る。 “闇”の動きを見ていた。)

ズズズッ

(再び動き出す、“闇”の気配に。
夏樹は、身体を起こし。 紫苑を自分の側へ引き寄せた。)

「・・!///」

(紫苑は、夏樹が諦めていないのだと
分かった。

こんな時でも、自分をかえりみず。 紫苑に向けられた、夏樹の腕に。
紫苑は、不思議な。 心の奥に響き。 明るく照らすほどの、



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