HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter22 『雪の中の幻』 22-5


フワッ

(冷たい風に、揺れる可愛らしいレース。
まるで重さを感じない程に、ふわりとなびいた。)

(透き通り、重なり合うレースから。 細い。 小さな足を覗かせ。
裾は淡いグラデーションに、薄くピンクに色づいている。)

『さくらの花・・みたいだ。』

(少し上の上空から、その姿を見た夏樹は、
少女の幾重にも重なり揺れるレースが。 儚い、花びらの様に見えた。)

(小さな胸にも、繊細な花びら。)

(雪の上に届くほどに長い、シルクの様な。 ピンクのリボンが、
小さな胸元から。 流れ。)

(胸元に留めた、淡い光のビーズアクセサリーが。)

(真っ白な、素肌を引き立てていた。)

(夏樹と同じ、深い紺色の髪。 右横の髪に、胸元と同じビーズ飾り。
柔らかな短いソバージュの髪が、
透明な素肌の、小さな頬を覆っている。)

「・・君は、誰?」

(夏樹は思わず、少女に呼びかけた。)

「僕の・・。」

『・・母・・と言うには、幼すぎる・・。』



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ