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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter23 『温度差』 23-2


「一般人への記憶操作の責任を、誰も取りたくはないだろう。」

(首相は、年齢を思わせず体格が良く。 揺るぎない姿勢は、人の上に立つ資質を
感じさせる。)
(灰色にカールした髪を揺らし。
筋張った両手を組み。 冷徹な。 光の無い瞳で一蹴した。)

「はっはっ、全くですな。」

(首相の言葉に、重役たちは。 声だけで笑った。)

(誰も、本気で笑っている者が居ないと、首相は分かっていたが。
構わず続けた。)

「奴らに、任せておけば良い。」

「それより、彩の研究を進めさせろ。」

(首相は、側の黒服の執事に、命じた。)

「こちらへの報告を怠るな・・とな。」

「“命”より、高くつくものはない。

価値ある者の“命”を守る事が、国を守ることに

繋がるのだ。」

「いずれは国民のためにもなる。」

(その言葉に、重役の一人が、口を開いた。)

「・・しかし首相・・。

FOTへは、彩殿からの報告を流さぬように、するべきでは?」



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