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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter23 『温度差』 23-3


「とりわけ、総司令官の聖は、

能力者の中でも、異質だ。

放っておけば、危険です。」

(聞いていた、向かいの席に座る重役の一人も、
口を開いた。)

「・・ふむ。 あの子供を預けているのも。

私はどうかと・・。

相応しい場所で、保護すべきではないでしょうか?」

「・・例えば、彩殿のもとなど。」

(重役たちの心配する様子に。
首相は全く、動じていなかった。)

(その姿勢は、自信に満ち、瞳は変化せず。
口元だけが、微笑んだ。)

「・・はっはっはっ。

君は。 莫大な費用を掛けた、研究所を吹き飛ばしたいのかね?」

(首相の冷やかな笑い声に、
両脇の重役たちは、合わせて。 声だけで笑った。)

「はっはっはっ。 考えるだけで、恐ろしいですな。」

(首相は、再び。 冷徹な顔付きで。
灰色にカールした髪に、筋張った頬は、聖の事さえ

恐れていない表情だった。)



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