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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter23 『温度差』 23-6


カタタタッ

(職員室の中に設置された、異空間。 FOT分室の中で、
静乃は素早く、キーボードをたたいた。)

(ヘッドフォンの下で、明るい茶色の髪が、くせづいて跳ねるのも気にせず。
キャスター付きのイスをすべらせ。
いくつものパソコンの前を移動する度、軽やかな花柄のスカートが揺れた。)

「もうっ、一体どういうこと?」

「聖くんの創り出した、異空間のどこにも・・っ。

夏樹くんが居ないなんてっ・・!」

(静乃は、慌てていたが。通信用ヘッドフォンを左手で強く。 耳に押し当て。
右手で、自分の四方に張り巡らされた、いくつものケーブルや。

コードを引き抜き。
次々と。 乱雑に見えるが、計画的にいくつもの機材に繋いだ。)

ピッ ピッ

(静乃は夏樹の痕跡を追い、
もう一人、今まさに。 空間の狭間に飲み込まれそうになっている人物へ
コールした。)

ピルルルッ ピルルルッ

『・・出て、菖蒲くん。』

・・カチャッ

[「・・はい。」]

(ヘッドフォンから聞こえた声に、静乃は安堵した。)



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