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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter24 『選択』 24-3


カチャッ

(金色の銃口が、煌めく。)

(丸い輪を描き、ゆっくりと消える。
“闇”の黒煙の、残り香に。)

(香る、バラの香り。)

『・・聖・・?』

(聖と呼ばれた人物が、
次第に姿を現す。)

(金色に光る拳銃を握る、
長い指。 揺らめく黒煙に、金の装飾が光り。
次第に、眩く真っ白な、スーツの腕が現れ。)

(黒煙の向こうから、金色の瞳が煌めいた。)

「・・きゃっ!」

(聖と呼ばれた男性の。 真っ直ぐに伸ばした、腕先に。
まだこちらに向けて。 金色に光る拳銃が握られている。
紫苑は、夏樹の腕を強く握った。)

『・・この人は・・味方?』

(紫苑は恐ろしくなり、夏樹の背中に
張り付いた。)

「大丈夫だよ。」

(夏樹は、背後の紫苑に振り向き、囁く。)

(視線の先で。 夏樹は微笑んでいなかった。)



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