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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter25 『芝居』 25-4
(安堵させる、菖蒲の温かな黒い瞳と違い。
似ていても。 時雨の黒い瞳は、黒縁の半月形の眼鏡の奥で、
神経質に。 冷たく光る。)
(黒い燕尾服は、金の装飾の一つ一つに、緊張感を纏い。)
(夏樹は、時雨の強い視線を浴び。
菖蒲との違いを改めて噛みしめた。)
「彼女を離してくれ。」
(静かに、呟く。)
(自分でも。
どうしたら良いのか。 分からない。)
(晃でさえ。 自分に味方するとは、
思えない。)
(夏樹は、ただ。
時雨の、強い視線に負けない様。
見上げるほど背の高い。 時雨の、固く。 表情の無い顔を
睨んだ。)
(時雨は、鋭い視線を夏樹に向け。
重く、冷たい声で答えた。)
「・・何か、私めにおっしゃいましたか?
夏樹様。」
「良く聞こえませんでしたが。」
(夏樹の、深い紺色の瞳が揺れた。)
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