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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter25 『芝居』 25-8


「恐れながら、夏樹様。 ・・晃様の手を煩わせるな。

馬鹿ガキが。 お前なんかの事を。 晃は、本気で心配しているんだ。」

(張り詰めるその場の空気に、
時雨は思わず本音が出た。)

(怪我をした夏樹を抑え様と。
腕を伸ばし。 白手袋の手で、
夏樹を掴もうとした。)

パシッ

「・・何してるんですか!

時雨さん。」

(夏樹を抑えた、時雨の腕を止めたのは。
空間の扉を抜け、駆けつけた菖蒲だった。)

「・・菖蒲。」

(夏樹は、目の前に現れた、
馴染みの黒い燕尾服姿の菖蒲に。 心から安堵し、我に返った。)

「あ・・ああ。」

(足の力が抜け。

それまでの緊張感から。 解放され。 その場に、しゃがみ込んだ。)

「! 大丈夫ですか?

夏樹様・・。」

(菖蒲も、夏樹に寄り添い、地面に膝をついた。)



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