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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter27 『我がまま』 27-11


ガチャッ

(聖の真っ白なスーツの足が。
黒と紫の入り混じる、マーブル模様の気流の中へ。

銀色に光る、水面に似た。 道へ降り立った。)

ピチャンッ

(道はまるで、薄い水たまりのように。 波紋が広がった。)

「ありがとう。

菖蒲君。」

「夏っちゃんを、研究所の彩君の所に送って、

診てもらったら。

彼女と一緒に。

一度、屋敷に送ってあげてくれ。」

「はい。」

(菖蒲は、眼鏡の奥の瞳を閉じ、聖にお辞儀した。)

「あのままの服では、

親御さんが、心配するからね。」

「千波ちゃんが、何か貸してくれるだろう。」

(言うと、聖は、菖蒲の燕尾服の肩を軽く叩いた。)



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