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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter27 『我がまま』 27-2


(金色の瞳は、微笑んだ。)

「夏っちゃんなら、橘君に、力を使わせたくないだろうと

思ったよ。」

「規律違反になってもね。」

「悪くはない。」

「夏っちゃんらしいよ。」

(聖の言葉に、夏樹は何だか、照れくさくなった。)

『困らせるくせに・・。

そういう事を言うから、憎めない。』

(毎回、聖の思う壺だと思いながら、
夏樹は、聖の事を許した。)

(寄り掛かる車窓の外は、
黒と紫が入り混じる、マーブル模様の気流。
時々通りすぎる、七色に光るいくつもの空間を抜けた。)

コオオッ

(気流の流れに目を向けた後、聖は、夏樹の深い
紺色の瞳を見た。)

「夏っちゃん。

記憶を保持することは、それだけ

危険を伴う事なんだ。」



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