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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter28 『姉弟』 28-16


(夏樹は、どうしたものかと。
驚いた。)

「・・・、良かったね。」

(千波は、夏樹の胸に顔をうずめ。
そっと、優しくつぶやいた。)

「お姉ちゃんは、嬉しいぞv」

(千波は、夏樹を離すと。
満面の笑みで、微笑んだ。)

『・・・!』

『千波ちゃん・・。』

ぎゅっ・・

「あっ、こらっv」

(今度は、夏樹が、千波を思い切り抱きしめた。)

「ありがとう、千波ちゃん。」

(良く似た、二人のシルエットが
オレンジ色のランプの下で、重なった。)

(明るい茶色の髪と瞳。 温かな千波の明るい肌に。
夏樹の、冷たい。 まるで氷の様な体温が、冷たく伝わる。)

(その事が、千波には、とても愛しく。
切ない事に感じられた。)

(千波は、自分の胸に顔をうずめる、少しだけ、背の高い弟の。
深い、紺色の髪をそっと撫でた。)



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