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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter30 『交換条件』 30-10


[「紫苑ちゃんは、大丈夫だと思うのだけど。

佐織さんたちと途中で別れたらしくて・・。 それから、連絡が取れないんですって。」]

[「・・それに、蒲公英ちゃんがまだ帰らないから・・。」]

ヒュオッ・・

キンッ

(誠司は、明るいライトが照らしだす。 市長室の中ほどに
響く、小さな物音に振り返った。)

「・・!」

コオッ

(まるで、扉の外枠の形に。 淡い黄色の光が、何もない室内の中空に。
光の筋を描く様に、現れた。)

ガチャッ

(向こう側から、扉が開く物音に、
誠司は、視線を光の扉に向けたまま。 電話の向こうに、囁いた。)

「桜さん。

少しだけ、待っていて下さい。」

[「え?」]

ヒュオッ・・

(突然、市長室内に開いた、空間の扉の向こうから、
強いバラの香りと共に。 二人の人物が姿を現した。)



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