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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter30 『交換条件』 30-12
「聖さん。 お会いできる日を、楽しみにしていました。 どうぞ掛けて下さい。」
(誠司は、そう言って聖をソファーに促し、穏やかな笑顔で二人を歓迎した。)
「僕達は、再会の約束をしませんでした。」
「もう会えないのではないかと、思っていたんです。」
(警戒心を見せず。 相変わらず、人の良さそうな雰囲気を醸し出す。
誠司の穏やかな笑顔に、聖は数年ぶりに会ったはずなのに、
まるでいつも会っていたかのような親しみやすさを感じた。)
「誠司君、出来れば会わない方が良いんだ。」
「国家機密組織になったからと言って。
昔と違い、国の連中と僕らが、上手くやっていると
思うかい?」
(聖の言葉に、誠司は笑った。)
「くすくすっ。 そうでしょうか?」
(目の前で、いくつもの、銀の指輪の光る手を組み。
サラサラと光る銀の髪。 芳しい香りを纏い、ソファーに腰掛ける様子は。
到底、市長室にいる様な人物とは思えず。 室内の灯りを、一層強くする。
聖の不思議な存在感に。 誠司は、懐かしさと共に、再会の奇跡に感謝した。)
「僕は、あなたは上手くやっていると思います。」
「くっくっ。 そうか?」
「ですが、やはり本質的には打ち解けないでしょうね。
国は、あなたたちに気を許さないでしょうから。」
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