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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter30 『交換条件』 30-8


バタンッ

(白いリムジンは、オレンジのランプに灯る洋館の前から、
動き出した。)

コオオッ

ブブンッ

(黒と紫が入り混じる、マーブル模様の気流の中へ、
走り出すリムジンの中から。)

(夏樹は、バックガラス越しに、消えゆく白亜の洋館を見つめた。)

(深い、紺色の瞳の先で、マーブル模様の気流が、ゆっくりと
洋館を覆い隠した。)

「行ってきます。」

***

ピルルルッ ピルルルッ

(誠司のデスクの上に置かれた、私用の携帯が鳴った。)

カチャッ

「はい。」

(誠司は、デスクに歩み寄り、着信相手を確認すると、
すぐに携帯を手にした。)

(5階建ての、市庁舎から見える。
ほのかな夜景の街並みを、窓越しに見つめながら。)

(白い明るいライトが照らしだす、風見市庁舎の中に。 誠司は居た。)



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