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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter31 『交渉』 31-10


「聖さん。

僕にとっては、命が危ないと言われるよりも。

千歳さんの思い出を、消したままにしろと言われる方が、

酷です。」

「それでは、千歳さんがきっと悲しみますし。

夏樹君も、それを望むとは思えません・・。」

(誠司の言葉に、聖は、銀の前髪を揺らし、
サラサラと流れる銀髪の奥で、金色の瞳を輝かせた。)

「くすくすっ。 夏っちゃんにも、

そう叱られたんだ。」

「たとえ、辛い記憶が残っても。

彼女が望むのであれば。」

「君のお嬢さんの、大切な思い出を、

消さないでくれとね。」

『夏樹君が・・。』

(誠司は、夏樹が、自分の娘を守ろうとしてくれたのだと
感じた。)

「誠司君。

夏っちゃんは、僕に。」



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