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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter31 『交渉』 31-14


「多少は防げていると思うが。

二人だけの家族だから。 こればかりは、仕方が無いだろうね。」

(誠司は、二人の事を案じ。 千波にも、早く出会いたいと思った。)

「けれど・・消した記憶は・・。

戻す事が可能なのでしょうか?」

(素朴な疑問を、誠司が尋ねた。)

(聖が、答えた。)

「とても強い封印だ。」

「簡単には解けない様に。

夏っちゃんの、身に付けている物に、記憶の封印の力を込めてある。」

「橘にも解く事は出来ない。」

(誠司は、穏やかに佇む、橘の顔を見てから。
目の前で金色に煌めく、聖の瞳を見つめた。)

「・・では、どうやって?」

(問いただす誠司に。
金色の瞳が、室内の灯りを反射して、
楽しそうに煌めいた。)

「菖蒲君がいる。」

(聖の言葉に、橘の。 丸眼鏡の奥で、
小さな灰色の瞳が、聖を見つめた。)



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