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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter32 『柔軟』 32-10


持ち物がそろっていなくて・・。」

(桜は、誠司から事情を聞いて本当の出来事を知っていたので、
夏樹が、何とか紫苑をかばおうとしているのだと分かった。)

「・・まぁ・・そうだったの。」

「それは、大変だったわね・・。」

(頷きながら、桜は、夏樹の少しくせづいた深い紺色の髪を見た。)

『・・あの髪も・・そっくり同じね・・。』

『お風呂が苦手だったから・・。

千歳がよく、あなたのお父さんの髪を洗ってあげてたっけ・・。』

(桜は、懐かしい思い出に、心動かされ微笑んだ。)

「春日さんが、僕をここまで案内してくれると言ってくれたので。

つい、必要な物の買い出しに、

付き合わせてしまって。」

「・・そうだったの・・。」

「気にしなくて良いのよ。 遠いところ、良く来てくれたわ。」

「来てくれるのを、楽しみに待っていたの。」

(桜は、夏樹に微笑んだ。)

『千歳・・。』



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