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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter32 『柔軟』 32-9


(深い、きらきらと光る。 温かな紺色の瞳が、桜を見つめた。)

「まぁ・・、あなたが・・。」

『信じられないわ・・同じね・・。』

(桜は、夏樹の深く、煌めく様な紺色の瞳を見た。)

「春日さんのせいではないんです。」

(桜は、真剣な表情で自分を見つめる夏樹の、
まるで、雪の様に。 透き通る白い肌を見た。)

『そっくり・・同じ・・。』

(夏樹の言葉を余所に。 桜の茶色の瞳は、思わず込みあげた涙に潤んだ。)

「・・・っ。///」

(夏樹は、桜が余程、心配していたのだと思った。)

(思った以上に心配している紫苑の母の様子を見て。
夏樹は、紫苑の母が紫苑の事を、とても大切にしているのだと感じた。)

「すみません。 僕のせいなんです。」

(夏樹は、桜に深く謝った。)

(桜は、夏樹が丁寧に、自分に向かって事の流れを説明する様子を。
出会えた事に感動する気持ちを抑えながら。 静かに見つめていた。)

「本当に、すみませんでした。

この街に来たばかりで、迷ってしまって。」

「突然、越す事になったので。



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