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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter32 『柔軟』 32-15


「え?」

(夏樹は、たぶん、自分の借りる部屋は
隣の建物だろうと思いながら。 戸惑った。)

「今日は、疲れたでしょう?」

「お腹は減ってる?

少し遅くなっても良ければ、お夕飯を御馳走するわ。」

(桜は、そう言いながら。
夏樹の手に触れた。)

「・・!」

(夏樹は自分に抵抗を感じない桜の様子に
何だか戸惑った。)

「あっ・・、いいえ。

お気持ちだけで・・。」

「夕飯は持って来ましたから。」

(言いながら、夏樹は、きっと、冷たく感じているだろう。 桜から握られた手を、
引こうとしたが。
桜はますます強く握り返した。)

「あらっ!

あらあらっ?」

「こんなに冷えちゃって、ずっと外に居たのかしら?」



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