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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter32 『柔軟』 32-17


(紫苑も、夏樹に振り返り。
母の後を追った。)

「あ・・ああ、うん。」

(去っていく廊下の向こうから、小さく二人の声が聞こえて来た。)

「紫苑ちゃん。 かわいいお洋服ね。 似合ってるわ。」

「ほんと? お友達に貸してもらったの。」

トットットッ

(廊下の向こうに消えて行く足音を聞きながら。
玄関に残された二人は。
しばし呆然とした。)

「・・菖蒲。」

「割と自然に、受け入れられた様な気がするな・・?」

「・・いろいろと、不自然なところがあるはずなんだけど。」

(菖蒲は微笑んだ。)

「そうですね。 あの方が管理人さんですよね? お優しそうなお母様でしたね。」

「ああ。」

「けど。 アパートと言っても、

僕とこの一家だけなんて。

とても、接触を避けられそうにないな。」



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