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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter32 『柔軟』 32-2
(夏樹は、車を下りると、黒い小さなトランクを片手に。
少し涼しくなった夜風を受けながら。
桜ヶ丘の上から、眼下に広がる。 風見市の街並みを見つめた。)
「・・良い景色だな。」
(丘の下には、右前方に。 住宅街の仄かな明かりが続き。
遠く中央に商店街のある繁華街から、
左手側には、オフィス街のビル群の、夜景に続いている。
住宅街の先には、もう一つの小高い丘があり、今は、仄暗く見える
新緑の森が。 奥に広がっている様だ。)
(夏樹の視線の一番奥には、遠く。 今は見えないが、
ちょうど、地球が丸く見える様に。 海岸線がある。)
サアアーッ
(夏樹の元に、直接。 届く風が、微かな潮の香りを運んだ。)
「聖の屋敷や本部のある場所とは、ぜんぜん違うけど。
何だか落ち着く。」
(夏樹の言葉に、紫苑のためにドアを開けていた菖蒲が、
振り向いた。)
「そうですね。
本部のある街は、とても大きくて便利ですが。 都会的過ぎて。
この街は、自然も多いですし。
きっと、お屋敷にいらっしゃる時の様に。 リラックスできますね。」
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