HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter32 『柔軟』 32-7


ガチャッ バンッ

「まぁっ!

紫苑っ!

お帰りなさい。 心配したのよ。」

「!」

(夏樹は、思わず。 紫苑の後ろで固まった。)

(ドアの向こうには、ロングスカートに、エプロン姿の。 紫苑の母が立っていた。)

(肩につかないくらいの長さの薄いベージュ色の髪が、軽く揺れ。 心配そうに、
優しく紫苑に微笑んだ。)

「ママ! ・・遅くなってごめんなさい。」

「だめじゃない、紫苑ちゃん。

遅くなっても良いけれど。 知らせてくれなくちゃ。」

(余程心配していたのか、桜は、紫苑の顔を見ると。 まず、しばらく紫苑に向き合い。
変わりない紫苑の笑顔を見て、安堵した様子だった。)

「佐織ちゃんたちも心配していたのよ?

後で、お電話してあげてね。」

「ごめんなさい。」

(紫苑は、すまなそうに、母の前で小さくなった。)

(そこで夏樹は、一歩玄関の中へ。 紫苑の隣に進み出た。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ