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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter33 『紺色の瞳』 33-5
(桜は、夏樹の前を。 軽いロングスカートの裾をなびかせて階段を
上り始めた。)
キイッ
(夏樹は、階段を上りながら。 左壁に、いくつも連なる
四角い小さな窓を見つめた。)
(上に進むほど、桜ヶ丘の上に建っているその建物から。
街の景色が、小さな窓からも見えるのがわかる。)
(夏樹の目に、小さな住宅街の明かりが、
いくつも浮かんだ。)
(そのひとつひとつに、この街の人が住んでいるんだと感じると。
より、間近に思えてならなかった。)
キイッ
(階段を上り切ったところで、夏樹は、
深い紺色の瞳を大きく開いた。)
(階段の終点には、左壁に、大きな丸い窓がはめ込まれていて。
丘からの景色が見える様になっていた。)
「大きな窓ですね。」
「ふふっ。
せっかく、景色の見える所に建っているから、
その方が良いと思って。 誠司さんにお願いしたの。」
(桜は微笑んだ。)
「誠司さん・・?」
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