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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】
Chapter34 『そのままで良い』 34-5
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チンッ
(エレベーターが最上階で停止した。)
ガガッ
(菖蒲は、エレベーターから降り。 仄暗い、シャンデリアの照らす。
長い、赤絨毯の廊下へ下りた。)
(四角くビルの中心にくり抜かれた、吹き抜けの巨大なガラス窓は、
周囲のビル群の夜景を反射してキラキラと光っていた。)
「やはり、ここは誰も居ないですね。」
(細く長く続く廊下を照らすには、暗過ぎる程落とされた照明のせいで。
目的地である廊下の突き当たりは。
暗く陰り。 ぼんやりと浮かぶ、シャンデリアの灯りと、星空だけが照らしだしていた。)
『このフロアだけは特別です・・。』
『廊下の先が・・、いくつもの空間に繋がっている様な気がします・・。』
(廊下へ一歩踏み出すと。
空間移動の際に感じられる、纏わりつく。 不思議な重力を足元に感じた。)
『無事に、帰れます様に。』
(菖蒲の黒い燕尾服に施された、小さな金の装飾が。 ほのかなシャンデリアの
明かりの下を。
通るたび、小さく煌めき。)
(サラサラと流れる細い髪質の黒髪と、黒い四角い縁の眼鏡が、夜空に映し出され。
静かに菖蒲の黒い瞳が瞬いた。)
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