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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter34 『そのままで良い』 34-9


同じように、時雨さんは、晃様の執事です。」

「今日の出来事で、お分かりになったでしょう?

夏樹様をお守り出来るのは、あなただけなのですよ?」

「それを忘れてはなりません。」

(橘の灰色の瞳は、小さな丸眼鏡の奥で、強い光を秘めていた。)

「・・何の、力も無い私に。

お守り出来るでしょうか・・?」

(菖蒲は、橘の言葉に。

改めて、自分の手にしている小さな小箱の中身の

重要性を感じ、躊躇った。)

『夏樹様が外部と接触する・・という事は、

きっと夏樹様にとって・・そして、周りの方にとっても、危険なことに違いありません。』

『ましてや、本部やお屋敷を離れるのですから・・。』

「・・橘さん・・。

夏樹様は、そのままで良いと言ってくださいました。

けれど・・、私には、少し自信がありません。」

(橘は、菖蒲に微笑んだ。)

「ほっほっ。 良い御主人を持ちましたなぁ。 菖蒲さん。」



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