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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter39 『やってみる』 39-14


「・・はぁ。」

「間近で、街の人たちを守りたいなんて・・。」

「無理な願いなのかもしれない。」

「関わらずにいるなんて、出来そうにないし・・。」

『初日から、挫折しそうだ。』

(夏樹は、着替えながら。
真新しい制服のシャツに袖を通した。)

チリッ

(鏡の前でボタンを留めようとした、夏樹の白い首筋に、
黒い細い紐がかかっているのが見えた。)

(その先に掛かる。 小さな銀の指輪が音を立て。)

(夏樹は白い指先で、指輪を拾い上げた。)

「・・聖の言う通りなんだろうか?」

「『能力者であることを隠して・・普通に生きるか。』」

「『それとも。』」

「『力を使い。 人とは違う生き方をするのか。』」

(夏樹は、その指輪をもらった日。 まだ幼かったころの事を思い出していた。)

(再び、指輪をシャツの内側に仕舞い。 ボタンを留める。)

「あの時、聖と行くと決めなければ、どうなっていただろう?」



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