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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter39 『やってみる』 39-15


(夏樹は、紺色のネクタイを手に取り。 しっかりと結んだ。)

(紺色のネクタイに紺のズボンの制服。 真新しいネクタイと、白いシャツには、
白い一枚羽根の絵柄に、ローマ字でKAZAMIと、風見ヶ丘高校の校章が刺繍されていた。)

「千波ちゃんは、きっと。 普通の学生生活を送ったかもしれない。」

(夏樹は、鏡の前で。 自分だけ制服に身を包んでいることが。
許されない様な気がした。)

「僕を・・、気遣ったりしなくても。 良いのに。」

『そう、僕が言ってもきっと。

千波ちゃんはメンバーの事が好きだし。 聖の事が好きだから、

側にいるだけだと言うだろう。』

「そうだな。 FOTの皆に出会えないのは、

きっと寂しい。」

(夏樹は、千波のことを思いながら。 選ばなかったもう一つの道を思った。)

「ピヨッ」

「ん?」

(夏樹は、机の上に、置いていた。 小さな紙袋から。 聞こえた鳴き声に
我に返った。)

「ははっ。」

「そうだな、急がないと。

待ってくれているんだった。」



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