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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter39 『やってみる』 39-8


「朝だよ? 夏樹くん。」

(紫苑は、声をかけながら。 もう少しベッドの側に寄った。)

『夢でも・・見てるのかな?』

(見つめる視線の先で、夏樹は、静かに寝息をたてていた。)

「すぅ・・。 すぅ・・。」

(少しくせづいた、深い紺色の髪が。 目の前で見ると、鮮やかだ。)

(ただ、閉じられた瞳に。 あまりにも蒼白で、透き通る程白い夏樹の肌は、
血の気を引いて見え。
とても健康的とは見えず。 紫苑を、どこか不安な気持ちにさせた。)

(近づいただけで、少し冷たさが伝わる様だった。)

『今日は、温かくて良い天気だけど。

何だか冷えちゃったみたい?』

(夏樹の眠りは、深い様だったが、とても安眠しているとは
なぜだか思えなかった。)

「夏樹くん。」

(紫苑は、掛け布団から出た、夏樹の肩に触れ、揺り動かした。)

『わぁっ・・、冷たいっ。』

「ん・・っ。」

(夏樹の、閉じた瞳が。 眠そうに動いた。)



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