HOMENovel

Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter40 『いただきます。』 40-2


サァッ

(風はそっと、白い制服のシャツの下に包帯が巻かれている、傷ついた夏樹の左腕を
庇うように。 優しく撫でた。)

「誰かを守るなら。

僕一人分の強さじゃ足りない。」

「力を使う事を選んだのだから。

もっと本気を出さないとな。

いや・・、やっているつもりなんだけど。 きっと、

心のどこかで、普通に生きたいっていう気持ちが・・じゃましている気がする・・。」

(夏樹は、一歩下る毎に近づく。 街の景色を見つめながら。
吹き抜ける潮風に語りかけた。)

「これは、慣れだろう?

よし。 今日からは、1.5倍くらいのつもりで。

行くから。」

サァァッ

(吹き抜ける風は、夏樹の白いシャツや。 紺色のネクタイを小さく揺らし、
夏樹にはまるで、『それだけ?』と風が言った様な気がした。)

「くっくっ。

徐々に、頑張る。」

(風に向かって、微笑んだ。)



『 次ページへ 』 『 前ページへ 』
このページのトップへ