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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter41 『追跡者』 41-1


***

「「行ってきま〜す。」」

(紫苑と蒲公英の声が、snow dropの玄関前にこだました。)

「行ってきます。」

(玄関の外には、白いアーチが掛かっていた。)

(桜ヶ丘の上、眼下に広がる。 風見市の街並みが見える歩道へ、
歩き出した紫苑と蒲公英の後を、夏樹も。 見送る、桜と誠司に挨拶した。)

「ふふっ。

まるで、家族が増えたみたいね?」

(誠司と共に、肩を並べ、3人を見送りながら。
桜は幸せそうに微笑んだ。)

「・・そうですね。」

(誠司は、蒲公英の手を引く紫苑と。 少し遅れながら、隣を歩く。
紺色の制服に身を包んだ夏樹の、背中を見送り。)

(感慨深げに頷いた。)

「誠司さん、ポーカーフェイスが上手ね?」

(桜は、隣に立つ誠司を見上げた。)

「え?」

(誠司は、桜に振り向いた。)

「私なんて、彼を見た途端、涙が出そうになったわ・・。」



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