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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter41 『追跡者』 41-8


(夏樹は、思わず笑った。)

「くっ、着替えたって。 同じ燕尾服なんだから、

言わなきゃ分からないのに・・、正直なやつ。」

『朝帰りか・・。

聞かなきゃ良かった。 今日、学校で静乃さんに会ったら

どんな顔をすれば・・。』

(車窓に寄りかかった夏樹の、深い紺色の髪が。
窓ガラスにあたった。)

『菖蒲って、僕に比べて大人っぽいよな。

同じ歳とは思えない。

年上の彼女が居るからか・・?』

(ぼんやりと、そんな事を考えながら。
ふと、窓の外を見た。)

コオオオーッ

(車窓を見つめる、深い紺色の瞳に。
いくつもの流れる、空間通路が通り過ぎ。 黒と紫が入り混じった、マーブル模様の
気流の流れが。 渦巻いていた。)

「・・菖蒲。

同じ街の中を移動するのに、わざわざ空間通路を通る必要があるのかな?」

「普通に走っても良くないか?」



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