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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter41 『追跡者』 41-9


(夏樹は、ふと気になった疑問を尋ねた。)

「いいえ。

夏樹様。」

「空間移動用通路は、

離れた距離を、素早く移動するためだけではなく。

行き先を他の者に、察知されないためでもあります。」

(白手袋の手で、軽快にハンドルを切りながら。
サラサラと流れる黒い前髪の奥の瞳で、ミラー越しに夏樹を見た。)

「同じように。

結界にも、他の者の侵入を阻む効果がありますから。」

「街に張られた結界は、闇だけを。

異空間へ閉じ込める効果があると同時に。

FOT以外の能力者を、排除する効果もあるのです。」

「へぇ。」

「時の欠片プロジェクトは、国家機密のプロジェクトですから。

無関係の能力者が関わることを嫌います。」

「関わるには、それなりの認可が必要です。」

(夏樹は、ため息をついた。)

「・・ふぅ。 つまり、お金とかだろう?」



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