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Novel ストーリー【* Fragment of Time * 時の欠片の道しるべ * 夏樹の物語】

Chapter42 『向こうとこちら』 42-14


ザワザワッ・・

(大臣たちは、大会議室へ入室した。)

(本会議室と、大会議室の前の廊下には、
幾人かの、それぞれの能力者だけが。 シールドを隔てて、控えていた。)

(本会議室前の廊下の、待合椅子に腰かけた橘の側に、
ひょろ長い人影が近付いた。)

「橘よぉ。

夏樹を泳がせるつもりだろーがよ?」

(突然、橘の隣に腰かけ。
無礼にも話し掛けたその人物に。 周りの者は、驚いた。)

「ひっひっ。」

(赤い髪に、着崩したスーツの男の。 狐の様に細い瞳が。 橘を見つめニヤついた。)

「ばかっ、止めておけ。」

(他の能力者が、制したが。 赤髪の男は、気にしなかった。)

(聖の専属執事であることを、誰もが知っていたので、
橘の側に寄る者も少なかった。)

(橘の、襟元の小さな赤いピンバッジには。 FOT No.0-1と刻まれている。)

「これは、狐次郎様。

滅相もない事でございます。」

(橘は、変わらぬ穏やかな笑顔で。 丸眼鏡の奥で微笑んだ。)



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